チックとは、自分の意思とは関係なく体が動いたり声が出たりする症状です。
例えば、まばたきを繰り返す、首を振る、咳払いのような声が出る、といった形で表れます。多くは子どものころに始まりますが、思春期以降も続く方や、大人になっても症状が残る方がいます。人によっては思春期以降に症状が出る方もいらっしゃいます。
チックは、精神医学会の診断基準の一つであるDSM-5において、「神経発達症群」に分類されています。
これは、チックが脳の神経の働きに関係する症状であり、不安症や身体症状症とは別の独立した病気であることを意味します。
チックは「身体症状症」や「不安症」とは異なる病気ですが、一方で不安や緊張、疲れによって強くなることがあるのが特徴です。
また、「止めたいのに止められない」「人からどう見られるかが気になる」といった気持ちから、不安や落ち込みを伴うこともあります。
そのため成人期チックの方では、双極性障害、うつ症状、不安症、注意欠陥多動性障害
(ADHD)、強迫症状などを併せ持つことがあります。
思春期や成人期のチックの治療では、薬が重要な役割を果たします。薬だけで症状が完全になくなることは少ないですが、日常生活の困りごとを減らすうえで有効です。
薬は症状や副作用のバランスを見ながら、個々に合わせて調整していきます。
薬とあわせて、チックと上手につきあうための心理的支援も重要です。チックを「完全に消す」より「気にならないで過ごせる時間を増やす」ことを目指します。
などが有効とされています。
症状が非常に強く、薬や心理療法だけでは改善が十分でない場合には、脳深部刺激(DBS)という手術的治療の選択肢があります。
実施できる医療機関は限られますが、必要に応じてご紹介することも可能です。
ご家族の関わり方は、チックの経過に大きな影響を与えます。
| 無理に止めさせない | 「やめなさい」と注意されることで、かえって緊張や不安が高まり、症状が強くなることがあります。 |
|---|---|
| チックを責めない・叱らない | チックは本人の努力不足や心の弱さではありません。叱責は本人の自尊心を傷つけてしまいます。 |
| 安心できる環境をつくる | 職場や家庭でリラックスできる時間を持つことが大切です。 |
| 気にしすぎない | ご家族が過度に不安になると、本人もそれを感じ取り、症状に意識が向いてしまうことがあります。「症状があっても大丈夫」という姿勢が安心につながります。 |
| 一緒に支援を受ける | ご家族への心理教育や相談を通じて、対応の工夫を学ぶこともサポートになります。 |
チックは「本人の我慢や努力」で解決するものではなく、脳の働きに関係した症状です。
薬物療法を中心に、心理的な支援や環境調整を組み合わせることで、症状が完全に消えなくても「困らずに生活できる状態」に近づけることができます。
気になる症状が続いているとき、生活への影響が心配なときは、ご相談ください。