成人期の知的障害で精神科を受診する場合、治療や支援の主な目的は次の3つです。
※主にご家族・施設職員向けの内容となっています。
知的障害の方は、感情の高ぶりや不安、混乱などによって生活に困ることがあります。
など
精神科では、こうした困りごとを和らげ、生活を安定させるために薬が使われることがあります。
| 抗精神病薬(リスペリドン、コントミンなど) |
|
|---|---|
| 抗不安薬(レキソタンなど) | 不安や緊張を和らげる |
| 睡眠薬(フルニトラゼパム、ゾルピデムなど) | 寝つきや睡眠の安定を助ける |
| ADHD様の注意や衝動性の問題に対する薬(インチュニブなど) | 落ち着きを助ける場合 |
※薬は知的障害そのものを治すものではなく、生活しやすくするためのサポートです。
療育手帳を持つ方の中でも、成人期では知的障害の特性が強い方と発達障害の特性が強い方がいます。
このように、同じ療育手帳の有無にかかわらず、知的障害の中で発達障害の特性が強いかどうかで処方薬や福祉サービスの重点が変わることを理解しておくと、家族や施設職員としての対応も整理しやすくなります。
軽度知的障害の方の中には、対人関係の難しさや感情の不安定さ、行動の変化などが見られることがあります。
これらの様子が統合失調症と似て見える場合もあり、診断の判断が難しいことがあります。
知的障害と統合失調症は、もともとの成り立ちや支援の方法が異なります。
知的障害は生まれつきの認知機能の遅れに基づくもので、学習や社会生活の支援が中心になります。
一方で統合失調症は、思春期以降に幻聴や妄想などの精神症状が出てくる病気で、薬物療法による安定化が必要です。
また、診断によって利用できる福祉制度(療育手帳・障害年金など)が異なるため、正確な評価が大切です。
ただし実際の臨床では、「どちらか一方」ときれいに分けられないことも少なくありません。
知的障害のある方が思春期以降に精神症状を起こすこともあり、発達の特性と精神症状が重なって見えることがあります。
そのため当院では、
を重視しています。
幻覚や妄想、不安や興奮がみられる場合には、抗精神病薬などを慎重に使用して症状を落ち着かせます。
一方で、知的障害に伴う理解の遅れや環境のストレスによる混乱が中心の場合は、薬よりも生活環境の調整や支援体制の見直しが効果的なこともあります。
治療では、薬の効果と副作用を見ながら、ご家族や支援機関とも情報を共有し、診断だけにとらわれず、実際の症状と生活の安定を目標に進めていきます。
| 障害者手帳 | 福祉サービスや医療費助成に必要 |
|---|---|
| 障害年金 | 生活費や医療費の支援 |
| 就労支援・作業所 | 働く練習や軽作業を通じた社会参加 |
| 生活介護・施設入所 | 日常生活の支援 |
| 訪問支援サービス(ホームヘルパーなど) | 生活上の困りごとのサポート |
| 地域包括支援センターやケアマネジャー | 支援内容の調整や相談 |
成人期精神科での知的障害の治療は、生活を安全でスムーズに送るためのサポートが中心です。
など
療育手帳の有無や、知的障害の中での発達障害特性の強さによって、支援内容や処方薬は変わります。
ご家族や施設職員は、困ったことや不安なことを遠慮せず相談し、一緒に生活環境や支援方法を考えることが大切です。