愛着障害とは、幼少期の親子関係や周囲の人との関わり方が影響し、大人になっても安心して人と関わることが難しい状態を指します。
これらの困難は、決して「心が弱い」から起こるのではなく、過去の体験が脳や心の働きへの影響としてあらわれているものです。
大人の愛着障害は、症状の現れ方によってはうつ病や発達障害(特に自閉スペクトラム症=ASD)のように見えることがあります。
そのため、詳しい問診やライフヒストリーの把握、心理検査を併用して鑑別することが重要です。
なお、WAIS(知能検査)やAQ(自閉症スペクトラム特性の自己報告尺度)などを用いて、ASDや他の発達特性との区別を行う場合もあります。
大人の愛着障害はDSM-5などの診断マニュアルでは独立した診断名としては定義されていません。評価の中心は以下の通りです。
現在の精神科領域のおける主要な診断基準の一つであるDSM-5では、大人の愛着障害は独立した診断名ではありません。しかし、愛着障害に関連する症状は、次のようなDSM-5の診断の枠組みで評価されることがあります。
つまり、大人の愛着障害はDSM上では単独診断ではないが、困っている症状や対人関係の課題を中心に評価し、治療や支援方針を立てることが可能です。
なお、境界性パーソナリティ障害が全面に出ている場合、当院の医療体制では対応困難な場合がございます。
複雑性PTSD(C-PTSD)は、長期間にわたる強いストレスや心の傷(トラウマ)によって生じる症状です。例えば、長期にわたる虐待やいじめ、家庭内での深刻な暴力などの体験が背景となることがあります。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)と似ていますが、複雑性PTSDでは長期間にわたるトラウマ体験の影響で、心や体の症状がより広範囲に現れることが特徴です。
愛着障害のある方では、長期間のトラウマやストレスによって複雑性PTSDの症状が現れることがあります。
複雑性PTSDは、愛着障害の背景にあるトラウマ体験が形になった症状の一つと考えられます。
愛着障害や複雑性PTSDの症状は、
で改善しやすくなります。
困っていることや生活上の課題に合わせた支援を受けることで、日常生活を少しずつ取り戻せます。
大人の愛着障害や複雑性PTSDでは、過去の経験が今の気持ちや人間関係に影響していることがあります。
当院の治療では、「今のつらさを和らげること」と「過去を整理して視点を見直すこと」を大切にしています。
不安や落ち込み、眠れないといった症状を薬で整え、少し気持ちを楽にします。
カウンセリングでは、これまでのつらい体験を振り返り、今の自分はもう違う環境にいるのだと気づけるようお手伝いします。
薬で気持ちを支えながら、カウンセリングで過去を整理し、安心して今を生きられるようにしていく――それが愛着障害の治療の流れです。
加えて、必要に応じて生活指導による心身の状態の改善や、現在のストレスに対する診断書の発行を含めた環境調整により、症状の改善を図ります。
問題の解決には時間がかかることが多いです。また1回の診察でご満足いただけるだけのお時間がお取りできない場合もございます。あらかじめご了承ください。
愛着障害や複雑性PTSDは「心の弱さ」ではありません。
早めに相談し、支援を受けることで、少しずつ安心して人と関わり、日常を取り戻すことができます。